逆流性食道炎
・胸やけや吞酸などの逆流症状を起こしていても、内視鏡では食道粘膜障害がない方もいらっしゃれば、特に気になる症状はないけれども、内視鏡検査で食道粘膜障害がある方もいらっしゃいます。上記症状があれば、内視鏡検査をおすすめします。
好酸球性食道炎
・嚥下困難、つかえ感の症状を起こし、30~50歳代の男性に多く起こるといわれています。
食道カンジダ
・免疫機能が低下したときに発症します。内視鏡を行った際に1%程度にみられるといわれます。軽症であれば無症状ですが、症状がある場合は、内服治療を考慮します。
食道アカラシア
・つかえ感、食べ物や飲料の逆流、胸痛、咳嗽、体重減少の症状を起こします。このような症状があれば、上記疾患を疑い、内視鏡検査をおすすめします。発症頻度は年間人口10万人あたり1例程度と稀です。
食道癌
・胸痛、胸部違和感、嚥下困難感が主な症状ですが、早期食道癌の半数以上は無症状です。喫煙や飲酒、少量飲酒後に顔が赤くなる方は特に食道癌になるリスクが高いです。食道癌の半数以上は進行がんとして発見されます。早期に発見できるように、健康診断での内視鏡をおすすめします。
食道静脈瘤
・肝硬変症患者の半数以上に起こり、出血をきたすと命に関わります。門脈圧亢進症の方にも発生します。このような病歴のある方は、定期的な内視鏡検査が必要です。
急性胃炎、慢性胃炎
・急なみぞおちあたりの痛み、気持ち悪さ、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感が症状で、吐血や下血を伴うこともあります。診断は内視鏡にて行います。
胃潰瘍
・急性胃炎と同様の症状があり、内視鏡検査で発見されます。原因はピロリ菌感染、抗凝固薬やNSAIDsなどの薬の副作用、特発性等があります。出血などの合併症があれば、内視鏡などで止血を行います。出血などがなければ、まずは内服薬で治療を開始します。その後は原因の治療をはじめます。
血管拡張症
・慢性肝疾患や慢性腎不全などに合併し、貧血の症状がでます。治療にはAPC焼灼による内視鏡治療を行います。
ピロリ菌感染
・ピロリ菌感染の多くは幼少期に両親や祖父母から感染します。感染しているだけでは特に症状はありませんが、慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因になります。診断は、内視鏡検査や血液検査、便検査等で行います。除菌治療は内服薬にて行います。治療をしたら終了ではなく、除菌ができたかの判定の検査を行い確認をします。なお、除菌成功しても胃がんになるリスクがゼロにはならないため、(感染したままよりはリスクは低くなります)定期的な内視鏡検査でのフォローアップが重要です。
当院でも診断から治療、フォローアップまで可能です。
アニサキス
・サバ、アジ、イワシ、イカなどの魚介類に寄生している虫です。これらを生で食べることで、胃や腸にアニサキスが噛みついてアニサキス症を引き起こします。みぞおちの痛み、悪心、嘔吐が主な症状です。食歴があり、症状がある場合は内視鏡検査をおすすめします。
機能性ディスペプシア
・食後のもたれ感やみぞおちの痛みなどの症状があるにもかかわらず、原因となりそうな器質的疾患がない場合、上記診断にいたることがあります。診断に至る前に、内視鏡検査や超音波検査などで全身性になにか疾患がないかどうかを調べます。
マロリーワイス症候群
・過度の飲酒や過食など、繰り返す嘔吐後の吐血が主な症状です。内視鏡検査にて食道と胃の境目に縦走する傷があり出血を認めます。止まらない出血の場合は、内視鏡で止血を行ったり、それでも困難な場合は血管造影や手術が検討されます。
胃ポリープ
特に症状にあらわれることはなく、内視鏡検査をした際に偶発的に発見され、胃底腺ポリープと過形成性ポリープが大半を占めます。数個の胃底腺ポリープは悪性化が極めてまれです。過形成性ポリープは、多くがピロリ菌感染による炎症が原因で発生し、除菌で小さくなったり、消失したりします。悪性化のリスクもあるため、経過観察が必要です。
胃粘膜下腫瘍
・粘膜下腫瘍は粘膜の下に腫瘍があるため、内視鏡からみると粘膜自体は正常で、ぼこっと盛り上がってみえます。良性では脂肪腫、嚢胞など、悪性ではGIST、肉腫などがあげられます。大きさや形状により、経過のフォローアップや、組織生検、また超音波内視鏡検査を行い診断します。
胃癌
・胃がんは以前、日本においてがんによる死亡率の第1位でしたが、近年は診断や治療の向上により、2023年は、男性では第3位、女性では第5位となっています。(国立がん研究センター情報サービス「がん統計」より)
早期胃がんではほとんど無症状ですが、がんが大きくなると、胃のむかつきや痛み、貧血や体重減少、黒色便などの症状があらわれます。診断には内視鏡検査が必要です。早期の場合は内視鏡治療のみで根治が可能な例もありますが、進行した場合は手術などが必要になります。早期で発見するためには上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をおすすめします。
感染性腸炎
・さまざまな細菌やウイルスにより発熱や腹痛、下痢、嘔吐などの症状をおこします。カンピロバクターやサルモネラ、ノロウイルスなどが挙げられます。
カンピロバクターは鶏肉の生焼けが原因に多く、潜伏期間は2~7日です。腸炎が改善した後にギランバレー症候群という神経障害にも注意が必要です。
サルモネラは卵、卵の加工食品が原因に多く、潜伏期間は8~48時間です。
ノロウイルスは生カキなどの二枚貝が原因に多く、潜伏期間は12~48時間です。
虚血性腸炎
・突然の腹痛、血便、下痢が主な症状で、動脈硬化や便秘のある高齢の患者様に多いですが、若い方も発症することがあります。診断は年齢や背景などを問診にてお聞きし、症状から診断します。症状が治まった後には他の疾患が隠れていないかを確認するため、大腸内視鏡検査をおすすめします。
憩室出血
・腹痛のない、突然の血便が主な症状です。貧血をきたすほどの出血になることが多く、血液検査やCT検査、大腸内視鏡検査が必要です。治療は内視鏡での止血処置や困難な場合には、血管内治療(動脈塞栓)を行います。
過敏性腸症候群
・腹痛と腹痛に関連する下痢や便秘を慢性的に何度も起こすという症状です。前述の症状が大腸癌や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やCrohn病)などの病気を除外したうえで診断に至ります。ストレスにより症状は増悪します。治療は食事指導や生活指導を行い、それでも改善しない場合は内服治療を行います。
腸閉塞
・腹痛、嘔吐、腹部膨満、便不通が主な症状です。原因は手術後の癒着や腫瘍などさまざまです。レントゲン検査やCT検査で診断し、絶飲食などの保存加療で治らなければ手術を行う例もあります。
痔
・症状は肛門の出血、脱出、痛みがあります。診察や肛門鏡にて診断をし、薬剤療法を行い、重症度によっては手術となります。
潰瘍性大腸炎
・下痢、腹痛、血便のような症状があり、よくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。診断には大腸内視鏡検査を用いて、腸管内の組織検査や便汁検査を行い、確定診断をつけます。炎症が強いと、発熱したり、下痢の回数が多くなったり、貧血になったりします。治療は、軽症であれば内服治療、重症だと入院治療が必要となる場合もあります。
Crohn病
・主に若い方に発症が多く、下痢や腹痛などの消化管症状をはじめ、発熱や体重減少、貧血、関節炎、皮膚病変など全身症状があらわれることがあります。潰瘍性大腸炎と同様に改善と増悪を繰り返します。診断は、内視鏡検査にて所見を確認します。治療は根治できないため、繰り返す炎症に対する治療や合併症に対して対症療法をします。
大腸ポリープ
・一般的に無症状ですが、大きくなると出血を起こしたり、非常に大きい場合は腸閉塞にあまで至るケースもあります。ポリープには腫瘍性(腺腫や癌など)のものと非腫瘍性(炎症性や過形成性)のものがあり、腺腫は切除することで大腸癌の死亡率を減らします。
大腸粘膜下腫瘍
・粘膜下腫瘍は粘膜の下に腫瘍があるため、内視鏡からみると粘膜自体は正常で、ぼこっと盛り上がってみえます。良性では脂肪腫、嚢胞など、悪性ではカルチノイド腫瘍や悪性リンパ腫などがあげられます。大きさや形状により、経過のフォローアップや、組織生検、また超音波内視鏡検査を行い診断します。
大腸癌
・早期大腸がんは無症状なことも多いですが、大きくなると、血便、便が細くなった、腹痛などの症状があらわれます。診断は内視鏡にて行います。早期の場合は内視鏡治療のみで根治が可能な例もありますが、進行した場合は手術などが必要になります。早期で発見するためには大腸内視鏡検査(大腸カメラ)をおすすめします。
肝炎ウイルス
・急性肝炎にはアルコール性、ウイルス性、薬剤性があります。
ウイルス性の中でもA型、E型肝炎は経口感染が特徴であります。A型肝炎は、生カキなどの二枚貝など、E型肝炎はイノシシやシカ、豚などの肉を不十分な加熱で食べることにより発症します。はじめの症状は発熱、頭痛などの感冒様症状で、その後黄疸や褐色尿や血液検査で肝酵素の上昇が認められ、ウイルス検査やエコー検査等で確定診断に至ります。
・B型肝炎は成人での感染は性交渉によるもの、また注射の内回しなどあります。
自己免疫性肝炎
・中年女性の方に多く発症し、進行性に肝障害をきたします。黄疸や黄疸によるかゆみ、また健康診断で肝障害を指摘され、精査にて診断に至るケースがあります。
脂肪肝
・飲酒や肥満、脂質異常症、糖尿病などの原因により異常な脂肪沈着をきたした状態を脂肪肝とよびます。炎症を起こすと線維化がおこり、肝硬変に進行します。飲酒が原因の場合は禁酒、肥満や脂質異常、糖尿病が原因の場合は食事療法や運動療法など生活習慣の改善、また基礎疾患に準じた内服治療を行います。
肝硬変
・主な原因はB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝疾患などがあげられます。門脈圧亢進症や肝臓がんなどを合併し、症状が多岐にわたります。
肝硬変
・主な原因はB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝疾患などがあげられます。門脈圧亢進症や肝臓がんなどを合併し、症状が多岐にわたります。
肝嚢胞
・無症状のものは経過観察で構いません。嚢胞が増大し、腹部膨満、腹痛、背部痛などの症状が出現した場合は、治療対象となります。
肝血管腫
・健康診断でたまたま見つかることが多い良性腫瘍です。超音波やMRI検査を行って、他の腫瘍との鑑別をしっかり行う必要がありますが、基本的には経過観察となります。
肝膿瘍
・初期症状は悪寒から始まり、発熱、右季肋部痛、肝腫大があります。血液検査での炎症反応上昇や画像検査での肝膿瘍の所見で診断がつきます。原因はさまざまですが、細菌性肝膿瘍のリスク因子として、糖尿病、癌、腹腔内感染症、免疫抑制が挙げられます。治療は抗菌薬の投与や膿瘍ドレナージを行います。高齢者の場合には敗血症など命に関わる病状に変化することも珍しくはありません。
肝細胞癌
・本邦では癌による死亡の第5位のであり、男女比2:1で男性に多いです。原因はB型・C型肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝炎・肝硬変が多いですが、最近は非アルコール性脂肪性肝炎も増加しています。根治治療後も再発率が非常に高く、治療後もフォローアップが重要です。
胆石症
・無症状のことも多いですが、症状が出た際は、みぞおちや右肩から背中にかけて痛みがでます。胆石発作は脂っこいものを食べた後に起こりやすいです。無症状の場合は経過観察と定期的なフォローアップでよいですが、症状が出た場合は手術が望ましいです。
胆嚢ポリープ
・10mm以上や裾野が広いもの、経過観察中に大きくなっていくものについては悪性の可能性があり、手術を考慮します。それ以下のものであれば、定期フォローアップをおすすめします。
胆嚢炎
・前述の胆石が原因で感染を起こし、発熱やみぞおちの痛みなどの症状がでます。基本的には手術で治療を行いますが重症度や手術リスクなどを考慮して治療方針が決定します。
胆嚢炎
・前述の胆石が原因で感染を起こし、発熱やみぞおちの痛みなどの症状がでます。基本的には手術で治療を行いますが重症度や手術リスクなどを考慮して治療方針が決定します。
胆管炎
・胆管内に結石などが原因で感染を起こし、炎症が発生した状態で発熱や悪寒、腹痛の症状がでます。絶食、点滴治療が必要です。
胆嚢・胆管癌
・胆嚢粘膜から発生する悪性腫瘍です。腹痛症状で受診され、精査すると発見されるケースがあります。進行状況により、手術や抗がん剤治療を行います。
急性膵炎
・腹痛や嘔気、発熱の症状がでます。原因はアルコール、胆石、遺伝性等があります。重症の場合、致死的な経過をたどるため、診断、初期治療が重要となります。
慢性膵炎、膵石症
・原因はアルコール性、特発性、遺伝性等があります。病気の進行を防ぐには禁酒、禁煙が基本となります。膵臓の機能が維持されている時期は腹痛や背部痛があり、治療としては低脂肪食、鎮痛薬の投与を行います。痛みの原因が膵石の場合は、内視鏡治療を行います。
膵嚢胞
・嚢胞性腫瘍、非腫瘍性嚢胞、嚢胞変性に大別されます。嚢胞性腫瘍は膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)、充実性偽乳頭腫瘍(SPN)など多彩です。種類や大きさによって、定期フォローアップや手術を行います。
膵癌
・初期症状に乏しく、腹痛や体重減少など症状が出たころには進行してしまっていることが多く、早期発見が難しいがんです。糖尿病が急激に悪化することで発見される例もあります。進行度により手術や抗がん剤治療を行います。
